マイナンバーカードが昔からあったとしたら

悪く言われることもあるマイナンバーカードだが、もしマイナンバーカードが古くから存在したら、日本は多少違う成長を遂げていたかもしれない。

僕の知識が足りない可能性も若干あるのだが、ID(身分証明書の意味)がない先進国って珍しいように思う。多くの国で、ただのIDとしてのカードが配布され、みんな常に持ち歩いている。大きさはクレジットカードなどと同サイズでお財布に入れられるものだ。先進国に限らず、IDがないと不便な事が多いので、多くの国で携帯できるサイズのものが発行されていると思う。

マイナンバーカードが存在する以前の時代では、身分証明書を持っていない人が一定数いたはずだ。住所などを証明して役所で書類を取れば身分を証明できるので身分証明書がないというと少し違うかもしれないが、自分の身分を簡単に証明する手段がないというのは現代社会においてはかなり特殊な状況に思える。

マイナンバーカードの出現で、全員が等しく無条件に所持出来るIDが出来上がったのだ。このおかげで助かる人がかなりいるはずだ。

免許証

日本では長らく、便利な身分証明書代わりとして自動車運転免許証が使われてきた。車の運転をする予定がないのに20歳くらいで自動車運転免許証を取得して、老後まで身分証明書として更新し続ける人が多い。免許証やパスポートは身分証明書になるが、取得が義務付けられているわけではない任意の書類だ。

身分証明書目的で自動車運転免許を取得する人は減りそうではある。また、身分証明書がなくなると困ると思って免許証をし続けているお年寄りの方のなかには、どうせあるのだから運転も続けようと思われている方もある程度はいらっしゃるはずだ。現在、判断力や反社会的が低下しがちな高齢者から免許証の返戻を求める動きもあるので、マイナンバーカードで十分となればその助けにもなりそうだ。

逆に考えると、IDカードが存在しなかったことにより運転免許証の取得者が増え、間接的に自動車産業の発展に寄与した可能性もありそうだ。車を運転出来る人が増えなければ、車は売れないのだから。

もしかしたら、政府内部でそのような目論見があったのかもしれない。色々な国を見てみて思うのは、日本の道路設計ってかなり洗練されているということだ。相当頭のキレる人たちが設計したのだろうということは想像に難くない。曲がりたいところで曲がれるし、渋滞を緩和するために改良が重ねられている。税金の無駄遣いと言われることもあるが、いくらお金をかけてもなかなか作れる交通システムではないと思う。かけたコストに見合うメリットが得られているかはまた別の話だが。

実際のところ、本当に身分証明書としてのみ使いたかったら、原付や小型特殊免許証を取れば1万円以下で取得できる。しかし、更新はやはり必要なので、どうせなら普通自動車免許にしようと考えた人が多かったと思う。

外国を回って、都市部に住んでいる人は意外と運転免許証を持っていないものなのだなと感じたのと、日本は運転免許証がないと身分を証明する時に面倒と話すと驚かれる事が多かったので、こんなことを思った。

マイナンバーカードが悪く言われることについて(余談)

最近給付金の振込だったりで、マイナンバーと銀行口座を紐付けたくないとか、政府に銀行口座を知られたくないとかいう人がいるけど、政府は調べようと思えば個人の銀行口座を調べることは出来るし、知られて困るのは脱税や犯罪に関係する送金をしている人くらいだと思う。

さらには日本が租税協定を結んでいる50以上の国の口座情報も開示することが出来るらしいし、日本国内の銀行口座を政府に知られたくないというのはきっと無理だしあまり意味のないことなのだ。

マイナンバーカード以前にも、ICチップが載った、確定申告などに使用できる個人認証カード(正式名称がわからない)があって、それがとても使いにくかったのでマイナンバーカードを使うのを躊躇している人は多くいそうだ。対応環境が限られていたり、エラー内容が理解不能だったり、というものだった。そういう人にとってはマイナンバーカードを使いたくないと思うのは仕方ない気がする。僕もそのイメージがあったのであまり期待していなかったけれど、予想に反して結構いいじゃんという感じだ。

改善を望む点としては、政府系のシステム開発が特定業者に偏って発注されているという(ある意味不平等な)社会的コストを国民は背負っているのだから、統一されたUIでシステムやアプリを提供して欲しい気がする。割高になったコストがそこに充てられて、手続完了までの時間が社会の総和として短縮できたとするとメリットがありそうだ。次々と新しいUIが誕生すると、毎回役所に電話する人が大量発生してしまうのは避けようがない。

背景としては、それぞれの開発ベンダーが個別のシステム要件に対してベストと思うUIを頑張って考えて作っているのだと思う。ただ、政府系のシステムって積極的な理由で使うわけではなくて消極的な理由で使うだけなので、全体として統一されていて何となく使えるほうがありがたいなと思う。

悪い面をあげてしまったが、個人的にはUSB接続のカードリーダーが不要になってスマートフォンでNFCで読み取って認証出来るようになったのが非常にありがたい。確定申告や各種手続きがスマートフォンでどこでも行えるようになり、便利だなと感じた。

更に期待することは、住民票などの紙の写しを郵送するのは紙の無駄なので、送信者側として下記のようなものが出来ると便利だなと思う。

  • 受信者の公開鍵もしくはそれに準ずる値を受け取る
  • 自分を役所のシステム上認証し、受信者の公開鍵をセットで役所に発行依頼をする
  • 役所から発行されたデータを受信者に電子データとして送信する、もしくは役所のシステム上で閲覧ができるURIを送信する

受信者側にはメリットがなさそうなので短期的には無理かもしれない。おそらく別の個人情報を扱っているだろうから、住民票の写しを管理する手間が省けたとしても扱う情報の重要度が下がるわけではなさそうなので。無駄に紙を使うのが悪という風潮になったら実現しそう。

個人的にはマイナンバーカードはそんなに悪くないと思う、という余談でした。

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