Apple 製品の価格は何で決まるのか?
日本は Apple 製品が安いとよく言われているが、最近になって USD との為替レートのインプライド・ボラティリティ(将来の予想変動率)で価格を決めているのでは?と思うようになった。
基本的には Apple 製品は US での販売価格が一番安いことが殆どだと思うけれど、為替レートの急激な変化が起きると他国の方が安くなることもある。日本では Apple 製品の価格改定はそこまで頻繁には行われている印象はないが、個人的な印象では他国では価格改定を割とよく見る気がする。
為替レートの変動が原因だとしても、国内視点で見ると単純な値上げに見えてしまったり、将来の(あるか分からない)値下げを期待されてしまったり、デメリットの方が大きそうなのでなるべく価格改定せずに済むのが売る側としてはベターだと思われる。
価格改定しなければ良いのでは?とも思うが、価格が開いてしまうと (特にUS販売価格を下回ってしまうと) 輸出入する動機が生まれてしまい様々な問題が発生しそうなので、そうなるくらいならば価格改定をしたほうがマシな気がする。
とすると、販売国通貨と USD の為替レートのインプライド・ボラティリティが高い国での販売価格は予め高めに設定しておいて、低い国での販売価格は US での販売価格に近づけておくのが良さそうな戦略に見える。つまり、将来に為替レートが大きく動いて US価格を下回る販売価格になってしまう恐れがある国では、高めに設定しておけばその心配もないということだ。
もちろん、値段は不用意に高くしてしまうと他のメーカーを買われてしまうので、必要最低限な価格差に留める必要がありそうではあるが。
つまり、日本円は第3位の流通量で比較的為替レートも安定しているので、そこまで値段を上げておかなくても大丈夫ということで、比較的安く買えるのでは?と思った。日本人は iPhone たくさん買ってくれるから、というような理由もあるかもしれないが。
Apple 製品を安く買うには
試したことはないが、おそらく VAT が高めの国で、 VAT 分を免税してもらうのが最安になりそうな気がする。あえて自国で買わないで、日本へやってきたときに iPhone を買って免税手続きをする人もいるくらいだ。
日本の iPhone はカメラのシャッター音消せないのに、それでも日本で買うの?と尋ねても、安ければその方が良い、みたいな感じらしい。iPhone 高いからね。
Apple 製品のメリット
Apple 製品に限らないが、グローバルにビジネスを展開している企業の製品はサポートの面でのメリットが大きい。
出張や旅行で行った先の国で iPhone が壊れた時、Apple ストアや認証修理店がある国であれば問題は解決しやすい。野良 iPhone 修理屋さんは多くの国にあるが、日本のようなきちんとした修理はあまり期待しないほうが良い。(出来れば行かない方が良い)
為替レートの変動はサブスクリプション型課金のプライシング難易度を上げる
先ほどは Apple 製品の販売価格についてだったが、為替レートはサブスクリプション型課金の価格設定にも影響を与える。
例えば、1USD100円のとき、US では 8USD/月というサービスがあったとして、日本ではおそらく 800円/月 という設定になるだろう。しかし、1USD120円になってしまうとUS側から見ると1人から月々6.6USDしかチャージ出来なくなってしまう。
USD/JPY であれば長い期間が経つとまた戻ってきそうなのでそこまで問題は無いかもしれないが、例えば政策金利が高いトルコなどの場合、トルコリラはUSDに対して下がり続けている(チャート)ので、例えば 5年前に 8USD/月を 22TRY/月として設定したまま現在に至った場合、今では 3USD/月しかチャージ出来ない状態になっている。
トルコの政策金利はずっと高いので、元のレートに戻ることは考えづらい。よって、サブスクリプション価格を上げる必要が出て来そうだが、単純な値上げでユーザは少なからず離れるだろうからなかなか難しそうである。(尤も、トルコ国内で生活していればインフレを嫌でも感じるはずなので、値上げが全く問題にならない可能性はある)
サブスクリプションで提供するサービスがデジタルコンテンツであった場合は、絶対的な金額ではなく購買力等も考慮して価格を設定するのかもしれないが、本来高い料金を払うべき人に対して抜け道を作ってしまうことになるので、グローバルなサービスの価格決定はとても難しいのであった。